理不尽を吹き飛ばす椿

伯母様の持病をここにお書きください、と言われて、そうそうキョウシンショウ。それにしても伯母は本当に逞しくてリアル鋼の女……と思いながら、ペンを握ったらつい強心症と書きかけてしまった。狭心症。心が狭い病と心の中でつぶやいて多少の溜飲を下げるなど。それにしても、介護ってめちゃくちゃ理不尽なことが続くと心折れて動けなくなるんだなと知りました。

友人宅に顔を出したら、椿の花がテーブルに飾られていました。久しぶりに正しく呼吸ができたような、ほっとひと息つけた気がしました。ありがとう〜

糊糸目若松の小紋

今季最後の袷は、この冬に一目惚れした室町京正の小紋。落ち着きのある地色と、糊糸目で描かれた若松が雪の結晶のようにも見えるところが気に入っています。次回着るのは秋が深まって肌寒くなってから。春らしさを帯締めのほのかなピンクで出しました。

弾丸ツアー

「瀬戸内海の橋を渡りたかったけどもう無理だなぁ」とため息をつく爺様のために、一泊二日の弾丸ツアーを組み、両親と3人で行って来ました。空港に着いてすぐ、手荷物を引き受けている間に迷子。あ〜車椅子があれば、でもわたし一人で2台は無理!連結された車椅子ってあるのかな?と軽い絶望の元出発。親孝行したいときに親は無し、というのでまぁそれは良かったんだけど、もっとちゃんと歩ける若いうちに連れて行くべきだったというか、いや、歩ける元気なうちに自分で行っといてくださいよというか。年老いた両親、ツアーに向かない気ままな年寄りとの旅は家族旅行じゃなくて、完全に「業務」でした。
伊丹空港からぐるっと466km。瀬戸大橋と鳴門大橋と明石海峡大橋を渡ってきました。途中東かがわ市の與田寺でお参りしようとするも、爺様は腰が痛くて歩きたくないとのことで、母と私だけがお参りしている間に、爺様は車でおやつタイム。戻ったら車内がピーナッツとスルメの混じった匂いでえらい臭い。
渦の道では、車椅子を借りたものの、俺は腰が痛いだけで歩行器があれば歩ける!と言い張るじい様と、片目が見えないだけで車椅子に乗せられて困惑するばあ様の間に入りまして。「介護されてるのは俺じゃない」という圧を感じます。はたから見たら私は車椅子を押さない親不孝な娘にしか見えないのよね。もう別にいいけど。
二日目はたまたま大潮の日で、大きなうず潮が見られました。サングラスをしたら、波の線やうねりの筋が奥まで透けるようになるんですよ!渦の波によって青緑色の海の色が透けて明るい色になる様子と、飛沫を上げる大きな渦に圧倒されました。小さな渦も可愛かった。今回の自分へのご褒美!と思える時間でした。
車椅子をお借りするレベルで、車椅子ユーザーではないものですから、車椅子専用スペースには停められないので、常に建物に横付けするために、離れた駐車場から往復ダッシュ、翌朝からめちゃくちゃ筋肉痛です。

いまのいろskalaに帯留め登場!

山形県の銀山温泉にある上の畑(かみのはた)焼の陶芸家松浦加奈さんとコラボで帯留めを作りました。成形と焼成を加奈さんにお願いし、わたしはデザインと絵付けを。大変だったけど、いい出来です!!嬉しい〜!!
きくちいまオリジナル製作委員会のメンバーである葛西屋さんの社長さんが、すてきな写真を撮ってくださいました!