とっておきのフォーマル

寿ぎの気持ちを精一杯込めて装いました。
室町京正の松皮菱に波の訪問着、紫紘の袋帯、藤工房×和音×きくちいまの「香る花」白半衿、和小物さくらの帯揚げ、藤岡組紐店の三分紐に珊瑚の松竹梅の帯留め。写真のときだけ西村織物のマスクは袖に入れて。

母からのお下がりのきものも帯もたくさん持っていますが、これは数年前に自分で買ったものです。地色と柄のバランスが気に入っています。このきものを着ると身長が高く見えるんですよね。生地は緞子。とろっとした手触りが気持ちいいです。これは一生一緒の宝物。とっておきの場面でのみ着用します。「きくちいまってアレやろ、古いもんばっか着てる人やろ」「きくちいまってカジュアル専門やろ」という呉服屋さんがいるらしいので言っときますが、わたしだって新品買うこともあるし、フォーマルきもの、大好きですからね!

小人!?!?!?

我が家の昔話法廷。

雨水を外に逃がすための穴に、息子たちが土を詰め込んで床下浸水になった件、このたび娘が「あのとき土を入れたのは兄たちだが、枝や小石や枯葉を入れたのはわたし」と8年前のことを白状。「穴の奥に住んでいる小人が使うかなと思った」というのが理由。

判決、時効につき無罪。

GUやGUや

娘がGUをわざと「グ」と呼んで遊ぶので、「GUGUや汝を如何せん」とつぶやいたら、それなぁに?と聞かれて、四面楚歌から虞美人草伝説まで一通り話すことに。小さな買い物の帰り道、車窓には薄暮。

「お母さんが高校生の頃は、放課後に薄暮講習っていう勉強会があってね」「へぇ、ハクボって響きがいいね」と言いながら、わたしのスマホで空を撮る娘。

ラベンダー色のGUの服と四面楚歌と虞美人草がワンセットになる娘の人生、ちょっといいなと思いました。

投函してから青くなる

先生の異動が新聞で発表になり、懐かしい名前を見つけました。担任してもらったわけでもない、ただ中2のときだけ数学を教えていただいた沢山の中の1人でしかないんですが、ご退職とのことで、この機会を失ったらもうチャンスはないと思い、どうしてもお礼が言いたくて手紙を投函しました。ご自宅の住所などわかりませんので、今お勤めの中学校に。投函してから、同姓同名だったらどうしようと青くなっています。

わたしはマンモス校のぎゅうぎゅう詰めの教室の中にいた、数学が嫌いな中2の女子の中のひとりでしかありません。担任でもなく顧問でもないし、先生はわたしのことを思い出せないと思います。でもわたしはずっと、お菓子作りなどの料理や縫い物をするとき、比の計算をするたびに感謝していました。先生のあだ名はマイケル。マイケルの数学は面白かった!ありがとう先生!

オリジナル半幅帯

本麻長襦袢「彩加」10周年記念に、数量限定でリバーシブルの西陣織半幅帯を作りました。片面は「窓辺」。旅人気分になりながら、人々の幸せを祈る気持ちで描きました。もう片面は黒地にさりげない銀糸で「麻の葉の雲」を織り出してもらっています。変わり結びしやすい440cm。締めやすい西陣織です。

「窓辺×麻の葉雲」の半幅帯は、4月1日正午に発売を開始します!
お問い合わせは、全国17店舗ある、きくちいまオリジナル製作委員会のお店へ。

もうひとつ告知!出来たてほやほやの半幅帯を見せびらかし(!)に、3月30日(火)20:30からの「藤工房Youtubeライブ」に出演させていただくことになりました。お楽しみに〜

娘がわたしの小紋を着た日

利休忌というお茶会をしました。

13歳になった娘は、とうとうわたしのきものが着られるようになりました。染の北川の小紋……「買ってはいけない着物と着物まわり」の出版記念パーティーのときに初めて袖を通したものです。

実は長羽織に仕立て直そうかと思ったのですが、藤工房の加藤さんに「娘さんが着るかもしれないから、とりあえず今は仕立てない方が」と言われて思いとどまったのでした。加藤さんのあのときのアドバイスのおかげで、娘も大喜びです。

1泊のときの裏技

「きもので一泊してみませんか?」という内容のコラムを、京都きもの市場さんのHP「きものと」に書きました。

わたしの一泊のときの裏技は、たかはしきもの工房の「枕ひも」に翌日の着替えを入れることです。左右組み合わせた足袋の中に和ブラとショーツを入れ、手ぬぐいで形を整えて枕ひもに入れるだけ。着替えではなく、コーデ変更のための帯締めや帯揚げを入れるのもアリかな。

今回のテーマについてのclubhouseは3月25日(木)14:00〜15:00です。お時間ある方はぜひご参加ください!

柑橘香る摺り琥珀(風)

文旦の皮を煮たものを真ん中にのせて、初めて桜の形の「摺り琥珀」を作りました。琥珀糖よりもむっちりした歯触りです。練りが足りなかった感じで、琥珀糖と摺り琥珀の間、という感じになりましたが、今日のお茶のお稽古にちょうどいい、柑橘の香り漂う春のお菓子になりました。

不思議なことに、毎年この時期に「美しいお菓子」を作りたくなるようです。長かった冬を越えて、なにか焦りのような、追い立てられるような気持ちを、お菓子作りで消化(昇華というほどのものでもないな)している感じ。

昨日は落ち着いて考えたい事柄があって、黙々と作業をしていました。文旦の皮を何度も煮こぼしてから水に半日さらし、グラニュー糖でくつくつと煮てからオーブンで焼いて、細かく切ったもの(花芯部分)を用意してからの琥珀作り。寒天とグラニュー糖を煮てから練って、冷やし固めて型抜いて並べて乾燥。

結局答えは簡単に出ないんですけどね。でもだいぶモヤモヤは晴れました。履歴書の趣味の欄に「お菓子(琥珀糖)作り」と書けるかも。ちなみに特技は「家の中に入ってきた蝙蝠を虫取り網で捕獲すること」です。調子がいいと1振りで捕らえます。捕獲した後は、そっと外に逃します。